お焼香する時
お焼香の順番がまわってきます。
ところが、どのようにお焼香をするのか知らない人が案外多いのではないでしょうか。
お香には、抹香(まっこう)や線香などがあります。
どれも煙が立っては消え、消えては立つところに無常を感じさせるだけでなく、その香を鼻でかぎ、体に焚きこむ事によって、私達の五官(目・耳・鼻・舌・身)が清められ、計り知れぬ功徳が得られる、とされています。
お線香には、抹香を2回焚くのが普通です。
1回目を「主香」(しゅこう)と言い、右手の「浄指」3本で香をつまみ、左手をそえて額の辺りに頂き、故人の冥福を祈りながら香炉に焚きます。
2回目は、「従香」(じゅうこう)と言い、最初の主香が消えないように抹香を加えるのが目的ですから、1回目のような形は必要ありません。
ただ右手でつまんで焚けば良いのです。
お葬式などのように、参会者の多い場合は1回のみで良いでしょう。
また線香を上げる場合は、仏さま・故人・ご先祖に1本ずつ合計3本あげるとか、仏・法・僧へ1本ずつ合計3本あげるという説もあります。
しかし、混みあっている法事の席では、1本だけでよろしいでしょう。
一方、お寺で法事をする時は、導師が入場される前に「迎え線香」といって予め2本立てておき、導師が中央に1本加える慣わしになっています。
いずれにせよ、芳香が隅々まで行き渡り、参会者一同が仏さまの慈悲に包まれて、おごそかにご法事が進むのです。
仏前で合掌礼拝をする お香をいただく お香を香炉へ
頭をさげ合掌礼拝 立って焼香する場合 線香を上げる場合
そろってお唱えをする
お経がすむと、導師にしたがい、参会者が揃ってご本尊さまのみ名をお唱えする事があると思います。
例えば「南無釈迦牟尼仏」(なむしゃかむにぶつ)、「南無大慈大悲観世音菩薩」(なむだいずだいひかんぜおんぼさつ)、「南無地蔵願王尊」(なむじぞうがんのうそん)等と唱えますが、その時の「南無」はサンスクリットの「ナマス(Namas)」を音写したもので、帰命(きみょう)、帰来(きらい)、信従(しんじゅう)等と訳されて、仏・法・僧の三宝に至心に帰依信順する事を言います。
しかし、禅戒一如の立場からでは今、み仏の教えに生きるありがたさに、思わず口をついて出る感激の唱念(ことば)が「南無」であり、「無心に賛(たた)える」「み佛にお任せして、真心込めてありがとうと申し上げる」といった意味にもなります。
従って、お釈迦さまや観音さま、地蔵さまにむかって自分の精進を誓いその様子をどうかご覧下さい、という気持ちを込めて呼びかけるのです。
ただ「俄(にわ)か信心」で守護を願ったり、神頼みだけであってはなりません。
これを「唱(仏)名」とか「唱(聖)号」と申します。
何べんでも多いほど良いのですが、普通は3べん、あるいは7へん、または21ぺん繰り返します。
導師の指示に従って、とくに大きい声を張り上げたりせず、すっきりと背筋を伸ばして合掌し、静かに唱和します。
お墓参り
ご法事が一通り終わった所で、お墓参りをするのが普通です。
参会者は、お塔婆(とうば)・お花・お水・お線香・お供え物等を持ってお墓に参ります。
塔婆とは、サンスクリットのストゥーパ(塔)に漢字を当てたものです。
もともとは仏舎利(ぶつしゃり)=お釈迦さまのご遺骨を納めた塔、つまりお墓でした。
それは、仏さまの像を形どったもので、やがて五輪の塔になっていきます。
あちこちのお寺に三重の塔や五重の塔がありますが、これもストゥーパを美しく変形したものです。
これをさらに簡単にして1本の板にかたどったのが、塔婆(あるいは卒塔婆)なのです。
板にいくつかの切り込みがある理由は、これでお分りでしょう。
塔婆を建てるのは、仏舎利の塔を建てるのと同じ意味を持ち、その功徳によって故人の菩提を弔うという追善供養の印なのです。
お墓には故人の戒名が刻まれています。
何故、山田太郎のような生前の名前ではいけないのだろう。
死んだら改名しないと成仏できないのかしら、と不思議に思っている人が少なくないでしょう。
実は、戒名は死んで初めて与えられるものではないのです。
お釈迦さまの戒めに従って生きる事を誓った時、その1つには1つの名前が授けられます。
これが戒名です。ですから本来は、生きている時に受けその戒名に恥じない生活をするべきものなのです。
ところが一般には、その事が忘れられ、お葬式の際にいただけるものと考えるようになってしまいました。
例えば大徳院富山興道居士という戒名があるとしましょう。
正確に言いますと、このうち戒名は興道の2文字で大徳院は院号、居士は位階と呼びます。
けれども受戒して与えられる戒名は、富山興道の4文字でこれを受けた人は初めてお釈迦さまを祖とし、道元禅師らによって受け継がれた「血脈」に直結した事になります。
ですから戒名は、立派な仏教徒になるという証と言っても良いでしょう。
この4文字の上と下、つまり大徳院や居士はそれぞれの菩提寺(ぼだいじ)からいただきます。
院号は、その人の会社や仏教興隆あるいは菩提寺に尽くす等の人柄をたたえて贈るものです。
また、居士(大姉)とは仏道を修めた人、信士(信女)とは正しい信仰に生きた人を意味します。
人間はみな平等ですが、仏道への取り組み方や生き方は人によって色々違いがあり、戒名にもおのずと反映されたものと言えます。
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